
石の面を見極め、
庭の重心を決める
日本の伝統を受け継ぎ、木と石を中心とした庭づくりを得意とする河合造園。庭づくりは、動的な樹木に対し、悠久の時をその場に刻む石から始まります。
一つとして同じものがない自然の石。その形や重厚感を見極め、庭の重心を定め、配置を熟考する。石には百の表情があると言われるように、見せる面や角度によって、その趣は千変万化します。どの面を立たせてどの向きで見せるかによって、同じ石でも異なる表情、風情を生み出すことができるのです。
お客様の好みや日々の生活動線を丁寧に伺い、心安らぐ眺めを生み出すための第一歩として、石を据える。和の庭づくりでは、規格化された材料は一切使用しません。自然の素材のみを用いるからこそ、敷地やお客様のイメージに寄り添う、唯一無二の庭が生まれるのです。そのため、自然の石を見抜く確かな目と、それを活かす熟練の技が、庭師にとって不可欠な資質となります。


自然の石は季節を映し、
日ごとに趣を増す
加工品や規格品は経年により劣化し汚れていきますが、自然の石は日ごとに趣を増していきます。たとえば雨に濡れて周囲の緑を映して輝く石の面、月日を経てやがて苔むしていく石肌の美しさといったものは、まさに和の庭の真骨頂です。空模様や季節により変化する庭の眺めは、お客様の日常に穏やかながら新鮮な喜びをもたらします。
私たち河合造園では、織田信長が安土城をつくる際に重用したことで知られる、穴太積み(あのうづみ)と呼ばれる非常に堅牢で優れた石積みの技術の研鑽も続けています。コンクリートよりもはるかに高い強度を持ち、排水の機能にも優れているこの古からの石積みをさりげなく取り入れることで、庭の情景に一段と味わい深さが加わります。


